交通事故で重症や死亡が多い年齢は?

2015年における交通事故死者数は‘4117人’と、2014年に比べて3人増えてしまいましたがほぼ横ばいであり、2005年の‘6937人’と比べれば6割も減っています。

死者数はこの10年間で下がり続けていましたが、年齢層別で見ると増えている階層があります。それは高齢者(65歳以上)です。

前年(2014年)と比べて交通事故死者数はどの年齢階層も減っていたのですが、70代と80代は増えていました。しかもその数はそれぞれ1000人に届くほどの高い数値を出しています。

60代も高齢者の入口と呼ばれる年齢ですが、交通事故死者数の数値は上がる年もあれば下がる年もあり横ばいのような状況です。しかし70代以降、特に70代後半から80代の増加数が顕著です。全年齢の合計に占める65歳以上の事故死者数は54.6%と過去最高を記録しています。これにはどういう要因があるのでしょうか。

60代後半から70代は団塊の世代と呼ばれ、他の年齢階層に比べて人口が多いことがあげられます。絶対数が多ければ事故が多くなるのも必然とも言えるでしょう。他には運動機能の低下も考えられます。60歳を越えてくれば運動神経が鈍くなり、視力や瞬発力の低下も見られることがわかっています。しかし当の本人の意識は若い時のままであり、このギャップて事故に見舞われることになります。
次に事故の内容ごとに見ていきます。

65歳以上の高齢者が事故で亡くなるとなると、思い浮かぶのは自動車による事故ではないかと思います。よくニュースでも取り上げられ、センセーショナルに伝えられるので記憶に残りやすいです。しかし実際は「歩行中」に起きたものがトップです。自動車が600人強であるところ、歩行者1100人強と2倍近くになります。死亡事故の原因を見てみると、一位が走行車両の直前・直後の横断、二位が横断歩道以外での横断、三位が信号無視です。どれも自身の運動機能と判断力を過信し、若い時のように車がきているが渡りきれると判断してしまったとか、車の方が自分に気づいて止まってくれると考えていたり、ただ単に横断歩道のところまで行くのが面倒だと考えていたかもしれません。